葉を食べるコショウのこと
英語のペッパーは、サンスクリット語のピッパリーが語源と聞く。でも、ピッパリーはもともとコショウではなくナガコショウのこと。そんな話を聞くたびにタイ料理の「ミヤンカム」を思う。あの葉っぱもコショウの仲間だと知ったときの「へえ!」を思い出すのだ。
なぜか「包む」「巻く」食べものにことごとく惹かれる私。ミヤンカムもバンコクで一目惚れし、いつしか大好物になった。干し海老、ライム、ショウガなどを葉っぱに包んで食べるのだが、その葉っぱの名前も正体もよく分からないまま、メニューをみかければ必ず頼む一品に。最初に食べたのがレストランの前菜だったので、ビニールに食材が入って路上で売られているのを見たときには、こんなカジュアルな食べものなんだ!と驚いた。
そのうち、同じ葉っぱが東南アジアのいろいろな料理に入っていることに気づく。例えばマレーシアのハーブ混ぜごはん、ナシウラム。さわやかな味でこちらも大好き。葉っぱの名前は、マレーシアだと確かダウン・カドゥック、タイだとバイ・チャップルー。シレーチューイングに使うキンマの葉と似ているので間違えないように、などと言われた記憶があるが、今となってはどちらも遠い存在になってしまってさびしい限り。
ベトナム料理にも使うようだ。シンガポールのとあるお店では、牛肉を葉で包んで焼いた「ボーヌンラーロット」という料理の説明にvine leavesとあり、ほお、ベトナムにはブドウの葉包み料理があるんだ!とばかり思っていたのだが、ある日勘違いが判明。「ラーロット」はロットの葉という意味で、その葉はハイゴショウ、チャップルーの葉やカドゥックの葉と同じものだったのだ。でもなぜvine leavesと書いてあったんだろう?
この5月、たまたまブドウの葉が手に入り、ドルマ(西アジアの巻きもの料理。ブドウの葉をよく使う)のレシピを探していたところ、「ベトナムではブドウの葉が手に入らず、ロットの葉で代用」していたという説を発見してしまった。なるほど!これが本当の話なら、先のメニュー表記もなんとなくうなずける。しかし、どんな時代も「巻きもの」好きはいるものだ、と妙なところで関心。
寄り道しすぎてコショウならぬハイゴショウの葉の話になってしまった。お許しを!
参考: 朝日新聞GLOBE+ 中東を丸かじり♢英語|| pepper(ペッパー)
♢タイ語|| พริกไทย(プリックタイ)
♢マレーシア語|| lada(ラダ)
♢マレーシア広東語|| 胡椒(ヴージウ)
♢中国語(普通語)|| 胡椒(フージャオ)(hú jiāo)
♢ベトナム語|| hồ tiêu (ホーティエウ)
♢タイ語|| ใบชะพลู(バイ・チャップルー)
♢マレーシア語|| Daun kaduk(ダウン・カドゥック)
♢ベトナム語|| lá lốt (ラ・ロット)
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