2019-09-27

チク

chiku
シンガポールで食べていたチク。食べごろを見分けるのが難しい。

シンガポール-chiku(チク) 英語-sapodilla(サポジラ) ※chewing gum tree(チューインガムツリー)  インドネシア語-  タイ語- ヒンディ語- ベトナム語-  中国語-  

チューインガムの原料になる樹液が名の由来?

by Takashima Keiko

チクという果物、初めて見たのも食べたのもシンガポール。食感は柿に似ているが、よく熟れるとかなり濃厚な甘さで、まるで干し柿か黒糖のよう。食べごろを見計らうのが難しく、顔がくしゃくしゃになるほど渋くて苦い未熟果をかじってしまったこと数回。そんな手強いフルーツだからなのか、日本ではまだ見かけたことがない。

チクという呼び名はマレー語で、英語はサポジラ。その木はChewing gum treeと呼ばれることもあるらしい。なぜなら、チクの樹皮からとれるゴム質の乳液がチューインガムの原料に使われていたから。そんな話をシンガポール植物園ガイドの友人に聞いたとき、ほお!と思ったものの、なぜ「チク」という呼び名なのかは謎のままだった。

ふと思いついて調べたところ、この木の樹皮からとれる液体は「チクル」というらしい。ということは、チクル→チクとなったのかも? そして、チクルの語源はいきなり南米に飛ぶ。

どうやってこのフルーツが南米からやってきたのかは分からないが、南米―ゴム質の乳液―東南アジア、とくれば、どうしてもあの話を思い出す。植民地時代、シンガポールは缶詰の内側に使われる錫や、タイヤに用いられるゴムの中間貿易港として栄えた。錫はもともと東南アジアで産出されていたが、ゴムは違う。ウィッカムというイギリス人が、ブラジルからパラゴムノキの種を持ち出したことから大きく歴史が変わったのだ・・。

と、小さなフルーツから話が大きくなってしまった。でも、だからことばはおもしろい!とつくづく思う。

参考:Singapore Botanic Gardens 自然友の会 ボタニックラバーズ著

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