2020-08-07

フェンネル

coriander
フェンネルの花。愛でながら食べる。

〘中国語-小茴香(シャオフイシャン)xiǎo huí xiāng 英語-fennel(フェンネル) ヒンディ語-सौंफ(ソーンフ)〙

フェンネルと八角の不思議な関係

by Takashima Keiko

農家から直送の野菜箱に入っていた、スイートフェンネルの花一輪。黄金色の小花、なんてかわいいんだろう!そっと噛んでみる。鼻腔に広がる香りに、思わず旅心が動き出す。最初はインド、次にドイツ。幼子を連れて南ドイツを取材旅したとき「母乳の出を促進するから」と、コーディネーターがフェンネルのスープを頼んでくれたことを思い出す。その年はドイツから戻った2週間後に中国取材。あのころはよく動いていたなあ!などと思い出しながら花をつまんでいたら、同じ香りなのに妄想の中の景色が中国的なものに変わっていく。

最近見た映画に「香りも検索できればいいのに」という台詞があったけれど、できないからこそしっかりと記憶の中に根づいていて、いつでも新鮮に感じられるのかも。うん、悪くない。2020年、これだけ移動しないのに世界のあちこちに思いを馳せることができるのは、結局、記憶と想像力のおかげ。そう思うとちょっと楽しくなる。

fennelseeds

フェンネルシード、じつは種ではなく実なのだそう。

さて、フェンネル。花より野菜よりなじみがあるのはやはりスパイスに使われる種。中国語だと小茴香。八角の「大茴香」に対して「小」なのはなぜだろう?形はまったく違うのに。香りや風味も似ているといえば似ているけれど、違う。一瞬、薬効に対してつけられた大小なのかとも思ったけれど、これも違う。タミフルの成分であるシキミ酸が含まれることで八角が話題になったが、中医学的な薬としての価値は「小」のほうが上だ。「安中散」という漢方胃腸薬にもフェンネルたっぷり。八角=大茴香は薬として使われることはあまりない。

大小の理由は謎のままだけれど、スパイスとしてはどちらも主役級の実力派。香りを想像するだけでおなかが空いてくる。さあて、今日は何を作ろうかな。

参考:「中医臨床のための中薬学」 神戸中医学研究会編著

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