2021-05-27

マレーシアの広東語

ペナンの市場。旅先で野菜の名前が分かるともっと楽しい。

マレーシア語とインドネシア語はとてもよく似ている、と言われる。よく「何パーセントの違い」という話は耳にするけれど、感覚的によく分からない。

ジャカルタに6年住んでいたマレーシア人のメイさんに聞いてみる。「通じると思って話していると、いつの間にか話が食い違っていたり。例えば、マレーシアでクマリン(kemarin)といえば一昨日のことなのですが、インドネシアだと昨日も一昨日もこの間も、みんなクマリン。びっくりすることも多いんです」。日本人にしてみれば、母語が通じる国が他にあるのはうらやましくも感じるが、「むしろまったく違う言語のほうが行き違いが少ないのかも」と言う。

メイさんにはマレーシア語以外にもうひとつ母語がある。広東語だ。こちらもまた思いがけない経験があるのだそう。結婚後、ご主人の2度目の転勤で中国の広州に住むことになり、広東語だから大丈夫、とまったく心配していなかったそうだが、「八百屋で泣きそうになりました!ジャガイモください、と言ったのに通じなかったんです」。ジャガイモは、マレーシアの広東語では「荷兰薯(ホーランシー)」、広州では「薯仔(シューザイ)」。確かに全然違う。

(荷兰薯(ホーランシー)についてはこちらの記事もどうぞ)

食材のことばについて興味を持ち始めて久しいが、辞書を引いても分からないことばも多く、そのたびにいろいろな人に話を聞き、さらに深みにはまっていく。今回も、メイさんが教えてくれた「マレーシアの広東語」はかなり楽しく、興味深い。一例を紹介しよう。

クアラルンプール出身のメイさんが使っている広東語の一部。カタカナ読みも教えてもらった。

よく考えてみると、食材の名前ほどあいまいなものはない。地域差があるどころか、お店によって呼び名が違うことだってある。「各国の市場で食材の名前が分かったら楽しい」「アジア各地の野菜の呼び名をぜんぶ集めよう!」などと息巻いてスタートした「KOTOBA」だが、そんなに簡単ではないことも分かってきた。

逆にいえば、辞書やサイトでは見つけにくい「生きたことば」は宝もの。ご縁にまかせてアジア各地で使われていることばをKOELなりに紡いでいこうと思う。旅に出られないこの時期だからこその出会いを愛おしみながら。

Text by Takashima Keiko

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