2020-05-17

KOEL(コエル)は、朝を告げる鳥。

Koel(雄)。和名はオニカッコウ。 photo by Takada Manami

シンガポールの朝。どこからともなく聞こえる「コーエル、コーエル」という鳴き声で目を覚ます。東の空がだんだんと明るくなるにつれ、たくさんの鳥の声が重なり合う。さあ、今日も一日の始まり。

日の出とともに起床だなんて、東京だったらかなりの早起きだけど、シンガポールの日の出は午前7時前後。北緯1度なのでほとんど1年中変わらない。Koelが鳴くより先にスクールバスに乗る子どもたちもいるし、早朝ジョギングの人などもっと早い。「コケコッコー」の鶏の声とはちょっと違う感じだ。

Koelはカッコウの仲間で、和名はオニカッコウ。たぶんシンガポール中どこにでもいる。なのに、姿を見たことがない。写真をお借りした高田真奈美さんに「高い木の枝や葉に隠れて止まっている」と聞き、声がしたときはよくよく目を凝らしてみるのだが、どうしても私には見つけられない。(ちなみに、街中でよく見かける黄色いくちばしの鳥があの声の持ち主だと勘違いしている人も多いが、あれはMynaというムクドリの仲間。愛嬌のある姿だが、鳴き声はギャーギャーとやかましい)

「コーエル」と鳴くのは雄だけ、雌もなかなかに特徴的な鳴き声だが、雄ほどには目立たない。シンガポールにもともと生息していたのか、Mynaのように外からやってきて住み着いたのかどうかは定かではないが、80年代から増えたという話も聞くので、もしかすると最初はインドあたりからやってきたのかもしれない。

雌のAsian Koel。 photo by Takada Manami

インドでどれだけ身近な鳥であるかは映画を観ているとよく分かる。たいていのインド映画に声だけ出演、たとえば「マダム・イン・ニューヨーク」でも、オープニングでシュリデビがKoelの鳴き声とともに起きて朝食を作っていた。「きっと、うまくいく」では「他人を蹴落として生き残る」というあまりうれしくない喩えで登場。確かにKoelはカッコウの仲間なので托卵をする。いろいろな解釈があるとは思うが、その生存本能、そして、実の親ではない鳥のもとで育つというのは、なんともたくましいではないか!とも思う。

今でもkoelの声を聞くと、あの南国特有の濃厚な空気がふわっと漂ってくる気がする。夜明け鳥にまた会いに行ける日が早くきますように。

Text by Takashima Keiko

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